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CHOCOLAT MILL ショコラミル

石臼が人類の食文化の礎を築いたという事実

人類初の道具であった石臼は、「粉」を生み出し、現在の食文化の礎を築きました。これは人類史上最大の発明と言っても過言ではありません。あまり知られていない「石臼」の歴史をここで紐解いていきましょう。旧石器時代、人類は狩猟採集で食糧をまかなっていました。しかし、人口の増大と乱獲により食糧危機を迎えます。そこから植物の種子を食べるために石臼が生まれました。野生植物の種子を食す文化は、すでに1万7千年前の石器時代から西南アジアでぼつぼつと確認されているそうです。例えば1万年前頃に栄えたイスラエルのナトゥフ遺跡では、住居に穀物の刈り取り用具と石臼、穀物貯蔵用の穴などが発掘されています。このように人類は、「石臼」という道具で「粉」を作ることにより食文化を劇的に進化させ、定住、農耕生活へ移行していったのです。

人類初の道具 石臼
焙炒したカカオ豆をメタテとマノで押し潰す 挽き石 石枡

これはサドルカーンという種類の石臼で、メタテ(挽き石)とマノ(石杵)と呼ばれる道具です。チョコレート好きにはよく知られていますよね。今から約4千年前の古代メソアメリカ文明から人類はカカオの実を食してきたとされていますが、「チョコレートの起源」であるカカオ豆を使った飲み物「ショコラトル」を作る道具として使われていたのがこの「メタテ」と「マノ」です。ショコラトルは、焙炒したカカオ豆をメタテとマノで押し潰しペースト状したものと、同じように焼いたトウモロコシの実を挽いて練り粉にしたものを、蜂蜜や香辛料を加えよくかき混ぜて作られました。最後にビールのように飲みやすくするため、道具を使いよく泡立たせて飲んでいたそうです。チョコレートの起源は、古代人が人類の叡智「石臼」でカカオの豆を挽くことによって生まれたのです。

人類の発展に大きく貢献した石臼の価値とは

「石臼」は人類の発展と歴史に深く関わっていました。その忘れられた価値を見直してもらい、進化した石臼で再び現代に貢献したいと思います。

回転式の石臼

サドルカーンからローターリーカーン(回転式の石臼)へ進化したのは、紀元前500年頃のギリシャといわれています。西暦紀元元年前後には、ヨーロッパはイギリスまで、また東はシルクロードを経由して中国、韓国まで広まりました。ローターリーカーンは、その外見の簡素さからはイメージできないほど精密な道具でした。上下の臼に刻まれた溝を微妙なバランスで接地させ、わざと不完全な円運動をさせることで摺動運動も行い、粉をつくる上で重要な働きをこなしていました。このローターリーカーンをきっかけに、西洋では小麦粉製粉の文化が発達し、徐々に工場という考え方や機械文明へ発展に進んでいきました。一方、東洋では小麦粉にあまり依存しない食文化であったため、小麦製粉の機械化は発達せず機械文明への主導的役割は西洋に任せることになったと言われています。このように石臼は、食文化と人類の発展、そして世界の歴史に深く関わっているのです

日本では主食が米だった為、西洋のように小麦製粉が目的の石臼は必要ありませんでした。日本に石臼が普及するきっかけになったのは茶臼(茶磨)です。鎌倉時代頃に中国から初めて抹茶を作る茶臼と粉挽き臼が伝わりました。石臼は非常に高価なもので、長く高僧や貴族などの上流階級で使われます。戦国時代では「茶の湯」が文化となり武士と高級商人の間にも茶臼が広まりました。またこの時代、当時の新兵器だった鉄砲に使う火薬の製造にも石臼が使われたことで全国に石臼製造の技術が広まり、日本独自の進化をしていったのです。江戸時代に入り、ようやく米やそば、大豆などを挽く石臼が庶民の道具として広く普及します。農民にとって石臼は最も重宝する道具であり、飢饉への耐久力を高め、江戸幕府体制を支える重要な役割を果たしたのです。また食用の粉挽きのほかにも、障子貼りの糊を米を挽いて作ったり、染め物用の紺挽きも石臼を使っていました。江戸時代の人々にとって石臼は一家の中心的道具であり、尊重され神聖なものとして扱われたのです。このように日本の石臼の歴史は、西洋とは全く違う進化の経緯を辿りました。そして近代に入り、大正から昭和初期にかけ食品加工の工場化が進むと、市販の粉の普及し始め次第に石臼は使われなくなっていきました。しかし、戦争がはじまり第2次大戦末期の食糧難の時代になると、再び石臼を使って代用食を挽くようになりました。現在の七十代の方の記憶にある光景がそうです。

江米やそば、大豆などを挽く石臼
チョコレート専用石臼 ショコラミルを開発

それ以降の若い世代には想像し難いと思いますが、石臼はほんの一昔前まで、一般の家庭で当たり前に使われていたのです。私の親も、小学校の頃までよく豆腐作りの手伝いをしていたと話していました。終戦後、高度経済成長を遂げた日本は、再び豊かな暮らしを取り戻し、石臼の姿は日常から完全に消え忘れられました。今では蕎麦や抹茶作りのこだわりのお店などで使われている程度です。私たちが開発した新しいカタチの石臼「ショコラミル」は、この日本独自の技術を見直し進化させた、カカオ豆挽き専用の石臼です。「チョコレート」という今、世界で最も愛されている魅惑の食べ物と、人類の叡智である「石臼」がショコラミルプロジェクトによって蘇り2017年1月、遂に広島大学と共同開発のもと誕生しました。「ショコラミル」はカカオと人類の歴史に新たな1ページを刻んでいくことでしょう。

ショコラミルの魅力と可能性について

チョコレートの故郷を訪ねてメキシコ、ベリーズ、ホンジュラスなど、メソアメリカのカカオ農園やマヤ遺跡を訪ねた時、あちこちにメソアメリカの人々が昔から使っていたカカオやトウモロコシを摩砕する道具が展示されていました。

カカオやトウモロコシを摩砕する道具石の板(メタテ)と棒(マノ

それは、表面がざらざらした石の板(メタテ)と棒(マノ)で、現地の女性たちはそれを使ってカカオ飲料を作っていました。よく見ると、メタテは中央がわずかに凹み、マノはそれに合うように中央がわずかに膨らんでいて、マノをメタテにこすり付けて何度も摩砕すると、融けたカカオが中央に集まって下に落ちていく仕組みになっていました。

メソアメリカの日中の気温はココアバターの融点よりも高いので、メタテとマノで摩砕すれば自然にとろりと融けたカカオが出来上がります。

16世紀にメソアメリカからカカオをヨーロッパに持ちこんだ人々も、最初はメタテとマノと同じ方式でカカオを摩砕しましたが、気温が低いので、石の下から炭火で温めなければ融けたカカオを作れませんでした。そのような時代が約300年も続きましたが、蒸気機関が発達した19世紀には回転式の摩砕機が完成し、摩擦熱で摩砕機の温度が上がるために、外から温めなくても融けたカカオを摩砕できるようになりました。

カカオ摩砕の歴史図

現代のチョコレート工場では、2メートルほどの幅の広いリファイナーを数台回転させて、大量にカカオを摩砕しています。

私は、古代メソアメリカと同じように、直接自分たちの手でカカオを摩砕する方法はないものかと思案した結果、日本古来の石臼の利用を思い立ちました。

ただし、石臼でカカオを細かく摩砕するには、解決しなければならない二つの問題がありました。一つは、石臼の温め方、二つ目は細かく摩砕できる石臼の構造です。私が相談した東広島市の(有)石の三徳さんと岡山県矢掛町の(有)井上石材さんが、約1年にわたる試行錯誤を繰り返して、二つの問題を解決してくれました。その結果、世界で初めて「手回しの石臼によるカカオの摩砕装置=ショコラミル」が誕生しました。

石臼 ショコラミルでチョコレートを作成

もちろんショコラミルでは、大きなチョコレート工場のような細かい摩砕はできません。しかし、石臼の上からカカオニブを入れてぐるりと臼を回転させて数分後にとろりとしたチョコレートが出来る感動と、ちょっとツブツブ感が残るチョコレートを味わう中で、遠いメソアメリカと私たちの故郷が融けあうような気分になります。

ショコラミルには、さまざまなカカオ豆を選んだり、甘さを自由に調節したり、ミルクやナッツを入れたり、生クリームと混ぜて生チョコにするなどのさまざまなカスタマイズの可能性があります。また水車利用や電動式などの工夫も可能です。

皆さん、ショコラミルをぐるりと回して、自分の手で自分のためのチョコレートを作る楽しみを味わってください。

ショコラミルプロジェクトリーダー
広島大学名誉教授 佐藤 清隆

佐藤 清隆 ショコラミルプロジェクトの発案者
Profile 佐藤 清隆(さとう きよたか)。
ショコラミルプロジェクトの発案者であり、世界のチョコレート研究の第一人者。1946年生まれ。工学博士。専門は食品物理学。アメリカ油化学会「Stephane S.Chang賞」、「Alton E.Bailey賞」、世界油脂会議「H.P.Kaufmann Memorial Lecture賞」ヨーロッパ脂質科学技術連合「European Lipid Technology 賞」等を受賞。近著に『チョコレートの科学』(大澤俊彦、木村修一、古谷野哲夫氏と共著、朝倉書店2015年)、『カカオとチョコレートのサイエンス・ロマンー神の食べ物の不思議』(古谷野哲夫氏と共著、幸書房 2013年 )、『脂質の機能性と構造・物性ー分子からマスカラ・チョコレートまでー』(上野聡氏と共著、丸善出版 2011年)など。写真はオランダのサーン風車公園にて。オランダは18世紀から現在までカカオの最大の貿易国で、かつては風車でカカオ豆を磨砕していた。
ショコラミル初号機で記念撮影
ショコラミル初号機
完成披露会での記念写真(2016年10月21日付 広島大学 食品物理学研究室にて)全てはこの一枚から始まりました。数ヶ月後、現在のデザインが完成し製品化に成功。2017年のバレンタインデーから販売開始となりました。広島大学では、販売直前の2月3日にマスコミ各社を集め合同記者会見が開かれました。その時の様子が広島大学の公式サイトに【研究成果】として掲載されています。詳細はこちらのURLをクリックしてご覧下さい!⇒ https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/37933

販売方法と価格のご案内

ショコラミル 商品 販売

Chocolat Mill

世界初のチョコレート作り専用石臼「ショコラミル」は、ショコラミル公式オンラインショップでの通信販売、または当店舗の店頭販売にて購入できます。当店にご来店いただければ、ショコラミルを実際に使ってチョコレート作り体験をお試しできるので、お気軽にお越し下さい。販売価格は下記のとおり。

販売価格:272,800円(税込)

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お問い合わせ
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TEL:0866-82-3235

製品詳細データ

部品寸法&重量

  • 石臼寸法:W202xL202xH250
  • 台石寸法: W300xL300xH30
  • 重量:27.14kg(石材約25.7kg+金具他1.44kg)
  • 石材重量内訳:①3kg ②3.5kg ③6kg ④6.2kg ⑤7kg
  • 石材:白桜みかげ(岡山県産御影石/花崗岩)
  • 金具:ステンレス製
  • ハンドル取手部分:木製

※全ての部品に純国産製を使用

ショコラミルの図面

配送について

【送料について】
送料:全国一律 5,000円 ショコラミル(石臼)はワレモノ及び重量物のため、特殊梱包・送料代として全国一律5,000円かかります。ご了承下さい。
【配送について】
通常は受注予約生産で納期を1~2ヶ月いただきます。在庫がある場合はご入金確認後、5営業日以内に発送致します。在庫の有無に関しては、お電話かお問い合せフォームよりお気軽にお問い合せ下さい。
【保証期間について】
保証期間:1年間 保証内容:取扱説明書・注意書に従った正常な使用状態で保証期間内に故障、不具合が生じた場合には無償修理致します。ご安心下さい。オプションで3年間保証を追加でお付けすることも可能です。

※公式オンラインストアに移動します

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